ニュートラルにカラダと向き合うために
Focus
ボディ・ニュートラルの誕生
2015年、ボディ・ニュートラルという言葉が生まれた。「ありのままの自分を愛そう」という考えのボディ・ポジティブとは異なり、「自分の体型が気に入らないときがあってもいい」と中立的に許容する考え方だ。
2016年、カウンセラーのアンネ・ポワリエが提唱した「常に自分の体を愛することは必ずしも現実的ではない」というメッセージから広まり、今日では歌手のテイラー・スウィフトや俳優のジャミール・ジャミルからも支持されている。
ボディ・ニュートラルの最終的なゴールは、自分へのケアや感謝、尊敬といったポジティブなイメージへとつなげること。これには様々な利点があり、自分の体を大切にする人は、健康的な食習慣を身につけ、がんの予防医療を受けるなど、健康増進につながる行動をとる可能性が高くなるという。また、うつ病の症状が少ない、自尊心が高い、自己受容ができる、生活満足度が高いなど、心理的なウェルビーイングとも関連している。続くオピニオンでは、ボディ・ニュートラルの受け入れ方について考察していく。
Opinion
身体と「向き合う」ための運動
「ボディ・ニュートラル」を日々の生活で実践するには、どうしたらよいのだろう?
調べてみると、鏡の前で過ごす時間を減らす、自分にとって快適なサイズの服を着る、体型批判といった不要な会話をシャットアウトする、など様々なTipsが紹介されている。
しかし、小手先のテクニックも大事だが、それだけでボディ・ニュートラルのコンセプトを自分ごと化するのは難しいと感じる。
そんな自分にとって転機になったのが、友人と体験したヨガの無料レッスンだ。肩こりに効きそう、という軽い気持ちで飛び入り参加したが、リフレッシュ効果は想像以上だった。
呼吸やポーズによって、こころと身体の歪みが整えられる心地よさは、普段の筋トレなどと全く異なる感覚で、まさに「外見ではなく、身体の機能」に意識が集中していた。
運動というとどうしても、減量したい、腹筋をわりたい等、外見的なゴールに紐付きがちだろう。しかし、ヨガやストレッチなど、身体の機能(柔軟性や可動域)を整えるエクササイズに取り組むことで、ボディ・ニュートラルな姿勢を体得できるのかもしれない。実際にヨガ経験者は、自分のボディイメージに対して、より肯定的であると示唆する研究もある。
ぜひ、運動習慣を身につけるヒントが詰まった過去記事も参考に、「自分の身体と向き合う」ための運動を取り入れてはいかがだろう?
Related Articles
Pinterestのボディニュートラルレポート
インスピレーションの源泉、Pinterest。2021 年 7 月に広告ポリシーを改訂し、減量を謳う文言と画像の掲載を禁止した。その後関連キーワードを分析したところ、2022 年 5 月では 2021 年 7 月に比較して「ダイエット」というキーワードを含む検索は世界的に 20% 減少。代わりに「簡単でヘルシーな食事」の検索数は 65 倍、「健康的な食事を摂るモチベーション」は 13 倍に増したという。
「ふつうの体型」に縛られないために
「Male Body Image Portrayals on Instagram」という研究では、ソーシャルメディア上でより多くの筋肉を表示することで、より多くの「いいね」や「ビュー」を獲得できることが明らかになった。ソーシャルメディア上のフィットネスアカウントの台頭により、「普通」とされるものの基準が設定され、故にありのままの体型に悩みを抱える男性も多いという。
「見た目」よりも「気持ち」を大切にするワークアウト
あらゆる体のためのムーブメントクラスを誇る「Joyn」や、インストラクターのベサニー・C・マイヤーズが考案した「be.come project」といったフィットネスアプリのオンラインクラスでは、まず生徒が自分の体調を入力するよう求めている。身体の声に耳を傾けることが重要とされるフィットネスが、体はある特定の形に見えなければならないといった、思い込みや前提を手放すサポートをしてくれる。