Scanner

ENGLISH

リセールが描く持続可能性

Focus

アクセシブルかつインクルーシブな購買選択

世界のリセールアパレル市場は世界のアパレル市場全体と比較した際に、3倍の速さで成長しているという。特に成長が顕著に現れているのは北米で、2026年までにリセール市場は2021年と比べて2倍以上の820億ドルまで規模が拡大し、オンラインリセール市場に限っては、2026年までに4倍近くにも成長する見通しだ。

この背景には、オンライン市場がテクノロジー発展とコロナによって成長したことによって、リセール市場と消費者のタッチポイントが広がったことがまず第一に挙げられるだろう。

また、パンデミックによって消費者の価値観が大きく変化したことも影響している。自粛期間は家で過ごす時間が増えた分、自分の持ち物を今一度整理したり、倹約的な生活にシフトチェンジする消費者が増えた。

さらに、Z世代などの若い世代においては、環境や社会への負荷を考慮し、より持続可能な選択としてリセール品を選ぶ傾向にある。私たちはリセール品に対して以前よりポジティブな印象を抱き始めているようだ。

今回のニュースレターでは、拡大するリセール市場、特にアパレルの分野に着目し、私たち消費者の行動はいかに変化するか考察していく。

Secondhand Fashion Is Seen As More Accessible and Inclusive Than Sustainable Fashion (THRED UP)

Opinion

サービスがすべてを変えてくれる?

私たちがものを買うとき「中古」という選択肢が一般的になりつつある。アメリカのリセールEC「ThreadUP」の調査によると、「中古品を購入したことがある」または「今後購入する可能性がある」と回答した人の割合は、2017年の52%から2021年には93%まで増加している。

日本でもメルカリをはじめとするフリマアプリの躍進により、中古品の売買が手軽に行えるようになった。これは日常的な消費行動が、結果的に持続可能な選択へつながるようになったとも言えるだろう。このように市場のサービスが拡大するなか、わたしたち消費者に求められる変化とはなにか。

2022年の研究によると、私たちが「フリマアプリの利用価値をどう認識するか」が環境配慮への行動に影響を及ぼすという。たとえば「使わなくなったものを売ることでライフサイクルを伸ばすことができる」「誰かが安くで買うことができる」といった利他的な思考を持つことは、持続可能な選択への意欲を高めてくれる。一方で「使わなくなったものを売ることでお金を稼げる」「容易に処分できる」といった利己的な思考は、マイナスに働いてしまうという。

サービスによって築かれた土台を活かすのは、私たちのちょっとした意識かもしれない。

How do ethical consumers utilize sharing economy platforms as part of their sustainable resale behavior? The role of consumers’ green consumption values (Science Direct)

Related Articles

リセールとグリーンウォッシュ

様々なファッションブランドがリセール市場に参入しているが、果たしてサステナブルなのだろうか?専門家は、リセールプログラムが消費者行動を変える可能性はあるものの、結局は脱成長なしのグリーンウォッシュに近いと指摘する。今月初めに開始したShein Exchangeの目的は、「顧客が循環の積極的な参加者となり、愛用前の製品のための新しいクローゼットを見つけるための目的地を提供する」こと。製品がリサイクルされ、第二の人生を歩むことができると単純に解釈してしまえば、人々は結局、第一の財をさらに消費してしまうのではないだろうか。

Fast fashion enters the resale game, but don’t call it sustainability (VOGUE)

古着が創造するアフリカ文化

衣類や靴の古着市場は近年急成長を遂げている。2002年の中古衣料品輸出額は14億米ドルだったのが、2020年の輸出額は40億米ドルに迫る勢いだ。欧米ではリユースやアップサイクルに加え、寄付された大量の中古衣料がアフリカをはじめとする国々に輸出されている。繊維廃棄物や国内繊維産業への悪影響が懸念される中、古着の持つポジティブな可能性も注目される。アフリカの意欲的なデザイナーたちは、簡単に手に入る古着を調達し、新しい衣服やアクセサリーを、創造的に作り変えているという。タイトな服や短い服を着るなど性別や宗教上の制約に挑戦し、自分のオリジナリティを表現することで、アフリカのファッション文化に多大なる影響を及ぼしている。

How used clothes became part of Africa’s creative economy – and fashion sense (The Conversation)

リセール市場を牽引するアーカイブ品

リセール市場の成長を牽引しているのは、節約志向や環境志向だけではない。いわゆる高所得層もまた、リセール市場に惹きつけられている。FloorFoundの世論調査によれば、年収17.5万ドル以上の買い物客のうち9割が、直近でリセール品を購入していたという。彼らのお目当ては、エアジョーダンの限定品など、中古市場にしか出回らないレアアイテムだ。また、若者たちの間では、ジョンガリアーノ期のディオールなど、特定のデザイナーや時代が注目を集めているという。Z世代の支持を集める歌手、オリヴィアロドリゴがヴィンテージのシャネルを着用して、ホワイトハウスに現れたのは記憶に新しい。ファッションの歴史やクラフトへの関心が、リセール市場の拡張を牽引している。

IN 2022, MORE PEOPLE BOUGHT VINTAGE CLOTHES, 'FLIPPED' RESALE PURCHASES AND SHOPPED INDIE DESIGNERS ON THE REALREAL (FASHIONISTA)

クローゼットに眠る衣服のアクティベーション

アメリカの再販市場を牽引しているプラットフォームがThreadUpだ。人気の秘訣は、お手軽な販売プロセスにある。サイトから専用の袋を注文し、要らなくなった服を詰めて、送り返すだけ。商品写真を撮影したり、買い手とやり取りしたり、面倒なプロセスを省けるので、多くの人々から支持を集めている。また、企業とのパートナーシップにも積極的だ。レンタルドレス事業を展開する企業と提携し、レンタルが終わったドレスの再販を手掛けている。家のクローゼットから商品在庫まで、使わなくなった服をアクティベーションするThreadUpの活動に注目していきたい。

米サステナブルファッションの牽引役、thredUP(スレッドアップ)の成長戦略 (TOUCH BASE)