ペットと幸せな生活を送るために
Focus
わたしたちとペットの幸せを再考する
パンデミックの最中、ペットを我が家に迎え入れた方も多いのではないだろうか?全米の2,000人を対象とするForbesの調査によれば、オーナーのおよそ8割が、コロナ禍(2020年以降)にペットを飼い始めたという。
多くの研究は、ペットと触れ合うことが、心と体、双方の健康に寄与する可能性を示唆している。ワシントン州立大学の調査によれば、犬や猫とのたった10分の交流が、ストレスホルモン「コルチゾール」を大幅に減少させたという。また、アメリカ心臓協会の調査は、犬を飼い始めた人々は、週30分ほど、運動時間が増えると指摘している。何かとストレスの溜まりやすい巣篭もり期間にペットを迎え入れるのは賢い選択に思える。
しかし、パンデミックが落ち着きを見せつつある今、葛藤を抱える飼い主も多いという。オフィスへ戻る機会が次第に増え、ペットを預けなければならない人々や、昨今のインフレで、ペットの医療費を賄うことが難しい人々まで、事情は様々だ。ニューヨークのアニマルケアセンターによれば、飼育困難になったペットは昨年から25%増加しているという。
このような状況下で、わたしたちとペットが、共に幸せな関係を築くには、どうするべきなのか、続くオピニオンで改めて問い直したい。
Opinion
テクノロジーと愛犬のウェルネス
ペットテクノロジーはペットと私たちの生活を豊かにするのだろうか。
パンデミックを経て、ペットを置いてオフィスに戻る人が増えてきた。留守中に愛犬を見守ったり、お世話の一部を担ってもらえるテクノロジーが次々と開発されている。
2023年注目のペットガジェットは、Wagz Freedom Smart Dog Collar。GPS技術を利用して、飼い主が犬の歩数を追跡したり、散歩の地図を作ったり、Wagzアプリで犬の「健康と幸福度スコア」をモニターしたりできるという。運動や睡眠、品種といった項目から、それらを評価する。また、この首輪はワイヤレスフェンスを構築することができる。愛犬が設定した境界線を超えると、首輪がショックを与えない音と振動で方向転換させるのだ。将来はハーネスフリーなお散歩も主流になるかもしれない、という期待も高まる。(走り回るのが大好きな私の愛犬は、さぞ喜ぶだろう。)
ペットテックはこのようなサービス意外にも、需要が増える一方で獣医師の不足が深刻な医療の分野で、そのギャップを埋めるのに役立っている。ポストコロナにペットと暮らす課題を一掃してくれるかのようなテクノロジーだが、人間側の都合にすぎるという見方も忘れてはならない。ペットを留守にした時寂しい思いをさせていないか、アプリが最適化したごはんの量で愛犬の体調がベストの状態なのか。「便利」と「ゆたか」は違うのだ。
技術を活用しながらも、それに頼り過ぎていては本末転倒だ。ペットの視点に立って直接的なふれあいを大切にし、幸せペットライフとは何か模索し続ける必要がある。
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