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「暇」を味方に

Focus

あえて、暇な時間を作る

朝はフレッシュな気持ちで仕事に取り組んでいたのに、気付けば午後には集中力が途切れ、惰性でSNSを見ている、という経験はないだろうか。カリフォルニア大学の研究によるとこの現象は、我々人間がスクリーン上に現れる過度な量の情報を処理している事に起因するそうだ。つまり、集中力を維持し、生産性を高めるには、一日の中の空き時間、いわゆる「暇」を設ける事が大切である。

では、”暇”とはどういった時間の事を指すのか。一説によるとそれは、脳を使う必要がない日常的なタスクを行う事で得られる、脳をリフレッシュさせる時間の事である。例えば、掃除や散歩などを行うことは脳を休ませ、私達の生産性を上げてくれる。

このような時間を設けるために、デジタルデトックスは非常に有効である。インターネットを見ている間、脳は絶え間ない情報処理を課せられ、休むことは出来ない。したがって、インターネットから離れた時間を作る事で、暇を創出しやすくなるのだ。

実は、デジタルデトックスをして暇な時間を過ごしている時、脳内は全く活動していないわけではなく、情報の整理や自分自身の振り返りを行う神経回路が活発に動いている。これにより、脳内の情報が整理され、私達の頭はクリアになるというメカニズムなのだ。

今日の混沌としたデジタル生活において、最適なパフォーマンスで仕事を行うために、暇を設ける事がいかに大切であるかが分かった。これを機に、手元にあるスマホの電源を切り、暇を楽しむ時間を作ってみてはどうだろうか。

Doing Nothing Can Make You More Productive (TIME)

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