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わたしたちの健康と夏への備え

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記録的な猛暑への準備

ブリストル大学の研究によると、この60年ほどの間で、世界の31%の地域が異常な暑さに見舞われた。これらの地域では、ある程度の異常な暑さへの対策がなされているが、オランダやベルギーなどの先進国、グアテマラやホンジュラスなどの途上国といった地域ではまだ準備が不十分だという。これらの地域では、エアコンがないなどの理由による熱中症のリスクの上昇や、屋外労働者の負担の増加などのリスクが高い。地球温暖化が進む中、これらの地域が記録的な熱波に対処できるよう、対策を講じる必要がある。

ひとつの対策として、空調設備の導入が挙げられる。こちらはより実用的な対策であるが、一部の貧しい生活をする人々にとって簡単ではない。つまり、現状では空調設備へのアクセスに格差があり、根本的な解決には多額の費用がかかるという事だ。また、空調設備は膨大な量のエネルギーを要するため、より多くの温室効果ガスを排出し、地球温暖化を促すという欠点もある。

また、別の対策として、街の緑化が挙げられる。緑を増やして太陽光を遮断する事で、気温上昇を抑制するのみならず、植物の蒸散作用により周囲の気温を下げる事ができる。しかしながら、緑化は適切に管理しないと、地域の生物多様性に影響を及ぼす可能性がある。そのため、初期投資だけでなく維持にも多くの費用や手間をかける必要があるという欠点がある。

今、世界は極端な気候変動に晒されている。私達は、これから起こりうる異常な猛暑やその他の異常気象を理解し、正しい準備をし、それらへの対策を考える必要がある。

Here Are the Places Most at Risk From Record-Shattering Heat (The New York Times)

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世界気象機関(WMO)は5月3日、今年は「エルニーニョ現象」が発生する可能性が高まっていると発表。この場合、日本では冷夏・暖冬となる傾向にあるが、南米ペルー沖の海水温上昇にともない、海洋生態系が大きな打撃を受ける可能性がある。今後、スーパーに並ぶ魚の種類や価格にもその影響が現れてくるかもしれない。

Prepare for El Niño (WMO)

地域住民に涼み場を

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日本で猛烈な熱波 1875年の観測開始以降で最悪 (BBC)

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Looking for a new ways to survive the heat (Cosmos)