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アップサイクルが生み出す価値

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なぜ、アップサイクルなのか

少しのアイデアと工夫で、使わなくなっていたモノを新しくユニークなモノへと変身させた、という経験はないだろうか。

国際NGOのHabitat for Humanityによると、このように使わなくなったモノに新たな命と価値を生み出す行為を「アップサイクル」と呼ぶそうだ。

アップサイクルは、リサイクルとは異なったモノの循環を与えているという。リサイクルでは、モノの素材を分解し新たな製品へと変えるのに対し、アップサイクルでは、素材を分解せずに利用形態を変えたり付加価値を与える事で、捨てるはずだったモノに第二の人生を歩ませる事が出来る。

アップサイクルがもたらす価値は様々である。まず、資源の使用を最小限にして新たな製品を作るため、地球環境への負荷を軽減する。また、モノのサイクルについての消費者の認知を促すことも期待出来るだろう。その上、アップサイクルでは元のアイテムの姿を完全に無くさないため、それらがもつ思い出や持ち主の愛着を次へ継承することも可能とする。

企業では、使われなくなった車をアップサイクルする取り組みが数多く行われているようだ。自動車会社のVOLVOでは、生産終了となった自動車のレザーを利用してスマホケースやカードホルダーを作成し、アップサイクルコレクションとして販売している。筆者も以前、1950 年代のキャンピングカーをAirBnBの部屋に変えるDIYを行っている夫婦と出会った事があり、この行為もアップサイクルに当てはまると考えた。

ここまで、アップサイクルとは何かについて言及してきた。関連記事では、様々なアップサイクルの事例と共に、それらがどのような価値を生み出しているのか、について考察していきたい。

What is upcycling ? (Habitat for Humanity)

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