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ベッドの上から世界とつながる

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ベッドでゴロゴロするというセルフケア

今、TikTokで新たなトレンドとして”Bed Rotting”、つまり「ベッドが腐る」という用語が若者の間で広まっている。この用語は、自分の意思で1日中ベッドの上で過ごす事を表しており、TikTok上の人々は、ベッド上の自分の様子を「#bedrot」のハッシュタグと共にベッド上で自分がSNSをスクロールしたり、食事をしたりする様子を投稿している。

「これは、私たちがいつも耳にする健康、ウェルネス、セルフケア系のトレンドに対するちょっとした反動のように聞こえる。人々がきれいな生活に少しうんざりしていることを示唆している」。そう提唱するのは、心理学者オードリー・タン氏である。近年、健康を促進し生産性を高めるためのセルフケアは私達の日常に溢れかえっている。そのような「最適化」を求める生活に嫌気が差した若者が、ペースを緩め、自分の体の声に耳を傾けた結果、「反生産性」を求めてベッドで怠惰に過ごし、休息を取る事を選択しているのだ。

心理学者のロバート・コモン氏によると、このトレンドは若者がストレスや不安に対処する方法として見られているという。他の世代よりもストレスを感じていると言われる彼らにとって、ベッドの上で全ての事から離れて気分をリフレッシュさせることは、重要な機会なのだ。

TikTokの人々は、新たなセルフケアアプローチとして、Bed Rottingを発信している。彼らは、ベッドの上から世界と繋がっているのだ。今回のニュースレターでは、Bed Rottingのようにユニークな方法で世界と繋がる事例を取り上げていく。

‘Bed Rotting’: What Is This New TikTok Generation Z Self-Care Trend (Forbes)

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