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ランニングカルチャーの今

Focus

パンデミックを走り抜けたランナーたち

最も手軽に行えるスポーツのひとつ、ランニング。冬の運動不足解消にも最適で、街では多くのランナーを目にすることができる。

遡ること2020年、パンデミックで屋内活動が制限されるなか、ランニングブームが起こった。昨年に発表されたレポートによると、ランナーの28.76%がパンデミック中にランニングを始めたという。

スポーツコミュニティとして世界でもっとも普及している『STRAVA』のレポートでも、ユーザーによって投稿されたランニング記録は2021〜2022年で約2倍に。パンデミックの明けた2023年でも、前年比で4%増加と、その人気ぶりが分かる。

ランニングがもたらす心身へのメリットはさまざまな研究で明らかだ。New York Times の記事によると、寿命の向上・疾患リスクの低減との相関を示す研究もあり、週に2-3回、3kmほどのランでも健康に寄与することがわかっている。またメンタルヘルスでも、適度な運動 (週2.5時間) をしている成人はうつ病のリスクが25%低い。

続くオピニオンでは、ここ数年で盛り上がりを見せるランニングコミュニティとその役割について、そしてランニングを楽しむための新しいサービスやプロダクトの進化について考察したい。

Even Short Runs Have Major Health Benefits (The New York Times)

走るだけじゃない。ランニングによる再接続

先月新たなNIKE riseコンセプトストアが銀座にオープンした。NIKE rise はフラッグシップストアとしてスポーツウェアからライフスタイルウェアなどのラインナップを揃えていることはもちろん、スポーツをする人々が必要とするプロダクトやサービスを提供して、日々をアクティブに、スポーツを楽しむ全ての人々のためのサービスや体験も提供している。

中でも、NIKE GINZAでは都内有数のランニングコースに隣接しているストアとして、ランナーに向けて様々なサービスを提供するランニング拠点「NIKE RUNNER’S HUB」がスタート。東京とストアをつなげるコミュニティ拠点として、定期的なランニングセッションを実施したり、ナイキの最新シューズのトライアルサービスである「TRY IT ON」、自分にぴったりのアイテムを提案してもらえる「EXPERT SESSION」、ランニング時に荷物を預けられる「CLOAK SERVICE」など、ランニングを楽しむための様々なサポートが提供される。

一方で、Adidasも自社のグローバルランニングコミュニティである「Adidas Runners」を世界70箇所以上の都市で展開している。Adidas Runnersは単にランニングを楽しむだけにとどまらず、ランニングを通して変化を起こすためのプラットフォームとしてグローバルに変化を起こすためのランニングムーブメントを働きかけている。昨年は、多くの女性は夜道を安心して走ることができないことを問題に掲げ、ロレアルパリ・ジャパンと共同し、ランニング中のストリートハラスメント撲滅を目指すためのランニングイベントを開催した。

コロナ禍に人気が再燃したランニング。その背景には、ランニングを通じたコミュニティとの再接続、さらにはコミュニティとして大きなムーブメントを生み出すハブとして注目すべき役割がありそうだ。

ランニングとそのコミュニティのための新拠点Nike Rise コンセプトストア NIKE GINZAが2023年12月8日オープン (NIKE)

ランニングを楽しむために

日本の新年の風物詩である箱根駅伝は第100回大会を迎えた。彼らの走りを見て、自分もランニングを初めてみようと思った方は少なくないだろう。しかし、ランニングを習慣化して続けることは必ずしも簡単なことではなく、「疲れている、外に出るのが億劫」といった理由でモチベーションが上がらず、結局やめてしまうことは誰にでも起こりうるのではないか。この記事では、ランニングのモチベーションが上がるような、新たな楽しみ方をいくつか紹介していく。

アプリでランを楽しむ / Strava
ランニングのデータを記録するアプリは様々あるが、Stravaは単なるランナーのためのアプリではなく、アスリートも使用するアプリである。驚くべきはその高精度な機能で、アプリがユーザーの心拍数などのデータからトレーニングプランの提案をしてくれる。また、アプリ上の膨大なランナーのデータから、他のランナーと仮想的にレースをすることも可能なのだ。負けず嫌いな性格の人に特にオススメしたいツールだ。

形から入ってみる
近年、ファッション業界はフィットネス、特にランニング用のファッションを流行りとしており、店頭には以前よりも遥かにバリエーション豊かな服やシューズなどのランニンググッズが並んでいる。普段の生活でお気に入りの服を着ると気分が上がるのと同じように、自分の好きなグッズを身につけてランニングをすることで大きなモチベーションに繋がるだろう。

筆者は毎年、箱根駅伝で選手が使用するシューズブランドに着目するのだが、今年はOnHOKAなどが新規参入組として初めて登場した。Onは2010年、HOKAは2009年に生まれた比較的新しいブランドであり、そのデザインは斬新なものばかりだ。また、Onは”ランニングを楽しくする”をミッションに設立、HOKAは山で下り坂を楽に下ることを目的に設立されており、ランニングシューズの多様化が垣間見える。今後も様々なニーズに合った斬新なシューズが出てくるのを、楽しみに待ちたい。

How to Enjoy Running: 10 Tips for a Fun Run (MasterClass)