Scanner

ENGLISH

製品寿命は私たちで決まる

Focus

アマゾンが取り組む循環型経済

アマゾンは、返品や売れ残りによる年間数百万個の在庫廃棄量を減らすため、2つの取り組みを実施。

1つ目は、返品された商品をアマゾンでチェックした後、中古として販売するというもの。英国ではこの取り組みがすでに実施されており、今後数ヵ月のうちに米国および一部の欧州諸国でも実施される予定だ。

そして2つ目は、多くの売れ残り在庫を抱える販売者が、アマゾンの卸売チャネルを活用してまとめ売りを行えるというもの。この取り組みは現在、米国と欧州の一部の国で実施されている。

これらが完全に施行されると、年間3億個の商品を救済することになるという。アマゾンのReturns / ReCommerce / Sustainability 部門のディレクターであるリビー・ジョンソン・マッキー氏は、「これらの取り組みが循環型経済の構築と地球への影響軽減に役立つことを願う」と語る

https://www.businessinsider.com/amazon-return-program-cut-wasted-destroyed-inventory-from-unsold-products-2021-8

Opnion

アップサイクルで作り出す新しいプロダクトサイクル

欠陥品や、大量の不良在庫、商品化されないなどの理由で捨てられてしまう製品は大量にある。しかし、普段の生活の中でその現実を目の当たりにしたことがあるだろうか。私たちは大量生産、大量消費社会に生きるなかで見えないロスを出し続けている。

未来を見据える上で、このロスと向き合わなくてはならない。

私たちは、物を消費する中でも古くなったタオルを雑巾にするなど再利用することによって、ライフサイクルを伸ばすダウンサイクルは日常的に行なっている。ゆくゆくは消費されていくサイクルの中でアップサイクルで価値を創造し続けることによって、新しい資源の消費を抑えることができる。

この使われなくなったものから、付加価値のあるモノを生み出すアップサイクルによって生まれた製品を販売するブランドが近年増えている。フィンランドのアップサイクルブランド、「Globe Hope」は廃棄される軍用製品などをアップサイクルしてカバンやアパレルなどを販売している。倫理性や透明性など多方面からサステナビリティに配慮されたブランドとして、今後の消費のあり方を変えるパイオニアブランドとして注目していきたい。

フィンランドのアップサイクルブランド「Globe Hope」

伝統工芸の民主化とサステナビリティ

9/10にリニューアルオープンした良品計画の旗艦店「MUJI新宿」。環境や社会課題への取り組みを謳う同店舗は株式会社つぐつぐと提携、壊れた器の金継ぎ修理サービスに乗り出した。

割れたり欠けたりしてしまった器を漆で修繕し、金粉による装飾で仕上げる「金継ぎ」。昨年9月、国連事務総長のスピーチで”better than new”のメッセージと共に言及されるなど、室町時代より続く伝統技法が注目を集めつつある。

しかし、金継ぎが消費者にとってハードルの高いアップサイクル手法であることも事実だ。修復にはかなりの時間と手間、そして費用を要する。

自分の場合、思想や仕上がりの美しさに魅力こそ感じるものの、「買い替える方が安いのでは」という無難な結論に帰着してしまうだろう。

これまでも古着の藍染リメイク「ReMUJI」などを手掛けてきた無印と、簡易キットの販売などで金継ぎの普及をめざすつぐつぐ。

両者の協業は、伝統工芸の敷居を下げ、「壊れてしまったモノ」と人の関係性に金継ぎという選択肢を増やすことができるのか。

モノと伝統、双方のサステナビリティという観点から注目していきたい。

つぐつぐがMUJI 新宿と業務提携 - 割れた器を金継ぎ修理で再生 (PR TIMES)

コットンバッグは有効か?

ニューヨークではショッピングバッグがブームだ。

買い物袋として利用できるコットンバッグは、ブランドや小売店、スーパーマーケットが地球に優しい行動をとっていると伝えるメッセージツールになった(少なくとも、企業がパッケージにプラスチックを使いすぎていることを認識していることを示すための手段にはなった)。街中を歩けば、地元の食料品からお気に入りのステーキハウスまで、様々なロゴのトートバッグを肩から下げているが様子がうかがえる。

2018年にデンマーク環境食品省が行った調査では、オーガニックコットンのトートバッグは、生産における環境負荷と利用に際してのメリットを相殺するために、約20,000回の使用が必要だとレポートが上がる。…つまり、1つのバッグを55年間の毎日使用でやっと環境コストをペイできる計算になる。

もちろん、だからと言ってプラスチックバッグの利用がベストアンサーではない。記事の中では、問題の一つに企業が自社の宣伝塔としてカスタマーの肩を利用していることに言及される。

「すべての製品にバッグが必要なわけではない」。結局のところこの事実を企業と私たちカスタマーの間で共有することが、最もシンプルで有効な解決策なのだ。

The Cotton Tote Crisis (The New York Times)

ウェルビーイングな購入体験とモノの価値

アーティストや職人のプロダクトを販売する、「The Little Shop」というお店がニュージーランドにある。創業者であり店舗での販売も行うのは、Colleen氏、Yvonne氏、Heather氏の3人。彼女らもまたアーティストだ。店内には3人の作品である絵画や子ども服、ガラス製品のほか、地元の人々によって創られたプロダクトが並ぶ。

オンラインでの買い物が当たり前となった今日では、このように作り手と買い手が直接つながり、「作り手の思い」を知ることのできる空間は、本当に貴重な存在であることに気づかされる。また、自らの購入が「地元のサポート」に繋がるのは、意図的でなくとも気持ちがいい体験であり、モノの価値にも少なからず変化をもたらすように思える。

自身を振り返ると、何かを購入する際には「機能」に対するレビューを熟読し、購入するというのが日常となっている。これでは、新しい機能が出る度に魅力的に映り、日々アップデートを求めてしまうのも当然だろう。

もちろん、優れた機能性は重要だ。自分自身、そのために幾多のレビューを渡り歩いてきた。一方で、週末には素敵な出会いを求めて街をぶらぶら歩いてみる。そんな選択肢があってもいいのではないか。この記事を執筆しながら、休日の妄想を膨らませている。

The Little Shop : Art, crafts and local products (Whanganui Chronicle)