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健康維持と暮らしの習慣

Focus

生活習慣とアイケア

ドライアイは成人の5人に1人が抱える悩みだ。一般的には50歳以上の人に多く年齢と共に症状が悪化していくと言われているが、近年では若年層の間での増加も見られる。

原因にはスマートフォンやコンピューターの普及がある。仕事や遊びでスクリーンを眺める時間が長くなった結果、瞬きの回数が減少し現代人は目を酷使し続けている。さらにストレス要因もドライアイに大きく影響する。最新の研究ではPTSDやうつ病との間に強い関連性があることも明らかになっている。

では、私たちはこの問題にどう対処すべきか?

1つ目は適切な目薬の選択だ。長期使用のため防腐剤などが入っている製品は、かえって症状を悪化させる可能性がある。確実なのは眼科で処方してもらうこと。2つ目には、自分たちを取り巻く環境の改善がある。乾燥した室内環境の改善、あるいは風や光など空気中の刺激を遮断するサングラスの着用も効果的だ。

さらに予防の観点からは、スマートフォンとの付き合い方を見直すことも重要だ。アンデシュ・ハンセン氏の著書『スマホ脳』によると、現代人は10分に1回スマートフォンを手に取り、1日平均4時間も画面を見ているという。これらの利用は、ドライアイだけでなくうつ病のリスクを高め、睡眠障害にも影響を及ぼす。

とはいえ、スマートフォンなしの生活は考えがたいのも事実だ。例えば、画面を眺めている時間をモニタリングする「スクリーンタイム」のような機能をうまく活用し、私たちの生活習慣と健康を考えたい。

Dry Eyes Afflict of Us. (NYT)

Opinion

頑張りすぎない運動の選択

ここ最近ずっと自転車を探している。候補にあがっているのは、ピストバイク、クロスバイク、そしてE-Bikeだ。近年様々な媒体での露出が増え、ご存知の方も多いと思うが、簡単に説明すると電動アシストのついたスポーツタイプの自転車だ。

パンデミックも相まってE-Bikeの人気は急上しており、2012年には自転車市場販売台数の1%にも満たなかったものが、2019年には約15%と着実に販売台数を伸ばしている。

そんなE-Bikeが健康面でも注目されている。

1つ目の理由は、長距離移動や道路の起伏、汗をかきたくないといった、自転車に乗るあらゆる障壁を取り除いてくれる点だ。これらは、体への負担を軽減しながらも、より多くの人々に運動の機会を提供することを意味する。

そして2つ目は、E-Bikeユーザーの消費カロリーは、同じコースを走る従来のサイクリストと比較してそれほど大差はないという研究結果だ。運動へのアクセスが容易になる分、その差を距離や頻度で相殺することも可能になる。

とはいえ、新しい運動習慣を取り入れ、定着させるのは簡単ではない。過去にトレーニングが続かなかった自分を振り返ると容易に想像できる。しかし、今の行動を何か新しいものに置き換える、という選択だとどうだろう。

電車やバスで移動していたものを自転車に置き換えてみる。これには、健康的なメリットを享受できることはもちろん、移動時間のアップデートも含まれている。その街を眺め、気になった場所には足を止めてみる、といった具合だ。

そんな心身の健康を支えるための相棒を探すため、今日も自転車探しの旅を続けている。

E-bikes get up to speed in popularity, providing a workout easier on the heart (The Washington Post)

長生きする運動習慣

日々の健康を維持するために適切な運動ができているだろうか。ちょうどスウェーデンで生活を始めて1ヶ月経った今の自分にこの疑問を問いかけるのは耳が痛くなるような話である。

コロナ禍で外出の機会が減ったことにより「コロナ太り」なんて言葉も他人事ではなく、少なくとも日本にいたときはサイクリングやジョギングなどできる限りの運動をしていた。しかし、生活環境が変わってからは、雨が多いだとか、寒すぎるだとか色々な言い訳をしながら家にこもっていたような気がする。

ニューヨークタイムズ誌がコロナ禍において運動不足になりがちな私たちに、長生きのために必要な運動量に関する研究を紹介している。それによると、寿命を伸ばすために私たちは1日平均で7000〜8000歩または、30分〜45分程度の運動をすることが望ましいという。1週間にすると最低でも2.5時間以上の運動が必要だそうだ。研究によると適切な種類と量の運動によって早死のリスクを70%ほど軽減することもできるという。加えて過度な運動は逆効果だそう。

これからの寒い時期にズボラながらも家でできるワークアウト探しの指標になりそうだ。

How Much Exercise Do We Need to Live Longer? (The New York Times)

Appleが築くヘルスケアの新たなエコシステム

毎年恒例、秋のApple Event。ガジェット類への関心が薄い私には、正直縁遠いイベントだが、ひとつの発表に目を惹かれた。それはApple Fitness+に関するリリースだ。

Fitness+は、Apple Watchが測定したヘルスケアデータを軸に展開されるフィットネスサービスで、初心者から愛好家、高齢者まで幅広い層のユーザーに、多彩なワークアウトプログラムを提供している。

私自身筋トレを始めたものの、なかなか長続きしない、全身をバランスよく鍛えられないといった課題に直面しており、運動量の可視化や、プログラムのパーソナライズはとても魅力的に映る。

また、数十万かかるトレーニングギアと比べ、およそ7分の1の価格で手に入るApple Watchは、食指を伸ばしやすく、取り回しもいい。

また今回の発表では、瞑想ガイドやピラティスなど新しいコンテンツもお披露目された。Appleは、iPhoneのセンサーデータからうつ病の検出支援に取り組むと報じられるなど、メンタルヘルス領域でも活発な動きを見せている。

今後、およそ10億人のユーザーを抱えるプロダクトから「こころ」と「からだ」の健康を統合的に保持・増進する巨大なエコシステムが築かれることに期待したい。

もちろん、健康に関わるデータは、個人情報の中でもとりわけセンシティブなだけに、その扱い自体も”健全”であって欲しいところだ。

Apple Fitness+ heralds a competitive new era for home workouts (Mac Daily News)

秋と運動と食欲と。

いつの間にか10月が近い。秋らしく次第に朝晩涼しい日が増えたためか、早朝ワークアウトへ公園に行くと真夏よりも人が増えているよう。みなさんの中にも「運動の秋」として健康、あるいはダイエットのためワークを始める人も多いのではないでしょうか?

そのような中でNYTに興味深い記事が。最新の研究によれば「計測したカロリー」「実際に消費したカロリー」に乖離があるという。身体に備わっているメカニズムが消費カロリーを自動セーブするため、100Kcalの運動に対して実際に燃焼したのは72Kcalというデータも。その実、1/4以上の誤差だ。うっかり運動後に飲食をすると消費カロリー以上のエネルギー補給をする可能性すらあり、手持ちのフィットネストラッカーではファクトフルなデータを表示して欲しいところ。

健康と運動/食事は切り離せない関係にあり、前者だけで健康を維持することは難しい。特にカロリーコントロールにおいては、インプットである食事量をマネージメントする必要が大きい。とはいえ、この時期「食欲の秋」とも呼ばれてるのですが…!

Your Workout Burns Fewer Calories Than You Think (The New York Times)