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HELLO 2022

Opinion

消費文化の変化を読む

年の瀬になると「断捨離」という言葉に触れる機会が増える。特に昨年はコロナの影響もあり、身の回りを整理された方も多いのではないだろうか。

昨年の9月に配信した第15回のニュースレターでは、アマゾンが実施する在庫廃棄への取り組みや、アップサイクルブランドの事例、金継ぎ修理サービスなどに着目した記事を取り上げた。近年、環境配慮への重要性が増していることから、様々な業界における廃棄物の削減や製品寿命を伸ばす取り組みは今年も促進されていくと考えられる。

この記事を書きながらふと2021年の流行語大賞を調べてみると、「ととのう」「NFT」という言葉がノミネートされていた。本ニュースレターの大きなテーマである消費という観点から見ると、サウナは体験の消費、NFTはデジタルコンテンツの消費だ。このように、ライフスタイルやテクノロジーの変化は私たちの消費文化にも影響を与える。

変化を読み解くための多面的な視点を持ち、2022年もみなさまにニュースレターをお届けできることを楽しみにしています。

#15 製品寿命は私たちで決まる

家と空間を楽しむ

コロナウィルスの感染拡大が世界中を震撼させてはや2年経ち、この2年で働き方や家での過ごし方が大きく変わった。何かにつけて”リモート”がキーワードとなった今、家はワークスペースとしても重要な役割を果たしている。年末の大掃除で家が整っているうちに、今一度「家と空間のあり方」を見直したいものだ。

この記事では、インテリアとしてグリーンが人間のパフォーマンス向上に影響があることについて触れている。家で作業することが増えた今、インテリアグリーン気分転換の鍵として注目していきたい。 また、模様替えもかなりの気分転換である。しかし、すでに持っている家具を総入れ替えすることは中々ハードルが高い。そんな中、家具もレンタルできるサービスが現れ始めている。また、ヴィンテージの家具を取り扱うお店や、使わなくなった家具をIKEAは買取、再販している。このようなサービスを利用することで2022年は賢くインテリアを楽しみたい。

#11 パンデミックが加速させる住居の変化

1日7000歩から始める2022年の健康

2022年を迎え、心機一転、新しいことに挑戦しよう、そう決意された方も多いのではないだろうか。そんな皆さんにオススメしたいのが、運動習慣の形成だ。

ニューヨークタイムズ誌で紹介された研究によると、長生きするために必要な運動量は、1日あたり約7000〜8000歩。思いのほか少なく感じるが、これだけで早逝のリスクを70%ほど減らせるという。

ぜひこの数字を、去年の振り返りや、新年の目標設定に活かしてみてはいかがだろう。

かくいう私も、留学太りと正月太りのダブルパンチで膨れたお腹を睨みながら、2021年の歩数データと向き合っている。

人生100年時代、長く健康でいることの価値は、ますます増していくだろう。

今年も、ヘルスケアデータを核とするエコシステムや、#8 2030年の薬箱で取り上げたヘルステックの最新動向に注目していきたい。

#16 健康維持と暮らしの習慣

資源再活用からソーシャルトレンドを観る

昨年始めたニュースレターもメンバー・読者みなさんのおかげで20回以上の配信を重ね、消費文化の視点から流通生産・コミュニティ・環境課題・ヘルスケア・公共・住居など多くのトピックスを扱ってきました。その中でも2022年の注目トピックスとして「資源の再活用」を挙げたいと考えています。

NYTの記事「2021年、社会傾向から見るアメリカ経済」でも触れられる通り、パンデミック禍における輸送コストの増大、個人消費の加熱、自然災害による供給の不足などから、2021年のアメリカ経済ではサプライチェーンの崩壊が課題に。これらのソリューションとして、資源の再活用や流通・生産の分散化に個人的に注目しています。

アップルでは独自のサプライチェーンや製品ライフサイクルを構築することで、高品質で安定した製品の供給と2030年を視野に入れたネットゼロを目指す。

ティム・クックCEOは「Appleの環境に対する取り組みを支えているイノベーションは、地球環境にとって良いだけでなく、当社製品のエネルギー効率をさらに高め、クリーンエネルギーの新たな資源を世界中で稼働させることにも役立っています。気候変動に対するアクションは、新時代のイノベーションの可能性、雇用創出、持続的な経済成長の礎になり得るのです。カーボンニュートラルに対する当社の取り組みが波及効果をもたらし、さらに大きな変化を生み出す」とも語る。

アメリカだけでなくヨーロッパも面白い。時計部品メーカー『Panatere』では、製品製造に再生鋼を用い、さらにその製造を南フランスの太陽光発電炉でソーラーエネルギーを用いるなど、実験的な取り組みを行う。その取り組みはローカルでも評価され、国際時計博物館のコレクションに原料の鋼ブロックが展示されるという。記事中で語られる「私たちがやりたいのは、(繋がりすぎた)グローバリゼーションへのアンチテーゼです」というRaphaël Broye代表の一言も印象的だ。

環境問題だけでなく様々なソーシャルトレンドと密接に結びついているゆえ、『資源再活用』は2022年の観測地点になるのではないか?そんな重要性を感じ、引き続き着目していきたいなと思っています。

#17 資源活用のジレンマ