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金融教育のニュースタンダード

Focus

Z世代への金融教育

Q. 10万円の借入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は倍になるでしょうか。

これは、金融広報中央委員会が行う「金融リテラシークイズ」の中の1問だ。近年、パンデミックによる経済的負担の高まりに加え、ウクライナ情勢が拍車をかけるインフレ率の上昇など、私たちがお金について学ぶ重要性が見直されている。中でも、アメリカでは4300万人 (8人に1人) が学生ローンを抱えており、若い世代における金融リテラシーの向上を訴える声が高まっている。

アメリカでは現在、23州で高校の授業に金融教育が導入されている。日本でもこの4月から、成年年齢が20歳から18歳へと引き下げられたことに合わせ、高校家庭科の授業の中で「金融教育」が始まった。株式や債権、投資信託などの金融商品について、資産形成という視点から教えられることになる。

また、学びの場は学校だけでなく、ポッドキャストやアプリなど、その選択肢はより多様化している。ニューヨーク連銀が公開する金融について学べるマンガは無料でダウンロードすることもできる。

金融教育が徐々に一般的なものへと変化する中、いかに自分たちのお金を守ることができるのか。今週は、Z世代3人が考えるお金との付き合い方をお届けしたい。

Bringing Personal Finance to the Classroom for Generation Z (The New York Times)

Opinion

賢く使おう。

完全キャッシュレスな一人暮らし生活も、はや8ヶ月経過した。日本にいるときはクレジットカードしか使っていなかったが、使い過ぎ防止のためにも今は専らデビットカードを利用し一月予算分を口座に入れ、やりくりしている。それでもなお、明細を見返すと記憶にない出費がちらほらとあり、答え合わせに頭を抱えることも多い。

やはり出費というものはどうしても嵩んでしまうものなのか。なんとか上手く使いたいものである。当たり前だが、「お金を賢く使う」には、まず自分の出費、そのうちの必要出費を把握しておく必要がある。その次に立ちはだかるのは、予算編成と記録である。ズボラな私からしたら記録の手間はなんとしても省きたいものだ。日本では、マネーフォワードやZaimが圧倒的な人気を誇っているが、欧米で主流なのはPersonal Capitalだそう。マネーフォワードなどの家計簿アプリが支出にフォーカスしているのに対し、Personal Capitalはユーザーが自身の財務状況を把握するのに適したアプリで、無料プランの中で銀行、証券会社、クレジットカード、ローンをリンクし、管理することができる。資産を貯蓄するのではなく、運用するならば、その動きが見える化されるこのアプリは予算計画にうってつけだという。予算や出費の記録も、資産運用の一部として考えることは、これからの「賢いお金の使い方」の大きな鍵となりそうだ。

余談ではあるが、やはり「賢くお金を使う方法」の中でも、「あまり自分に厳しくしすぎない」ことと「学び続ける」ことは大事にしていきたい。これは様々な物事に通ずるだろうが、お金の話でも例外ではない。あまりに厳しく管理していれば続くものも続かない。社会全体の金融リテラシーが段々と向上していく現代でも、焦らず楽しくお金について学び、使っていきたいものだ。

Personal Capital

いま買って、本当にあとで払える?

穴の開いた水槽がごとく、残高の減り続ける口座。特に最近は、円安で海外暮らしがしんどい。なるべく無駄な支出を切り詰めたいという思い(だけ)はある。

とはいえ、誘惑や落とし穴が身近に多いのも事実だ。例えば、オンラインショッピングの普及とともに世界的な広がりをみせる “Buy Now, Pay Later”(以下BNPL)。

言葉通り、持ち合わせがなくても、欲しいモノをすぐゲットできる。クレカのように厳しい事前審査は無いし、分割払いの利息も(大抵は)0円とあって、とりわけ若年層から支持されている。

BNPLの取引額が2025年に、グローバルで4380億ドルに達する(2021年時点では1570億ドル)という予測もあるなど、成長を期待されている分野だが、いち消費者としては、留意すべき点も多い。

特に注意が必要なのは、現実の購買能力を超えて過剰債務状態に陥ることだろう。実際、アメリカの消費者およそ1000人を対象とする調査では、BNPLを利用したユーザーのうち、およそ4割が最低1回支払いを遅延しているという。

支払いを延滞した場合、事業者からペナルティを請求されるうえ、信用スコアが下がるケースもある。

資産形成というと、投資をはじめ「攻め」の姿勢に注目が集まることも多いが、決済手段の発達などに惑わされず、地に足のついた購買行動を心がける「守り」の姿勢もまた、重要になっていくだろう。

The Global Payment Report (FIS)

投資と安心の両立

社会人になったら投資でも始めてみようか。

大学生の私にとって「投資」とはそんなぼんやりとしたものだ。

しかし、より効果的な資産運用の必要性はじわじわと高まる。Nomuraは低金利が長期化し、終身雇用や退職金が見込めない日本では、貯蓄金だけでは老後の資金は心もとなく、個人の資産形成が重要になってくることを示唆している。また、「金融資産が約20年間で日本は1.54倍に対して、米国は3.32倍」との調査結果も。日本経済のためにも、国民の金融リテラシーの向上が急がれる。

もちろん、入門として信頼できる投資関連本を読むことや金融セミナーへ参加することは有意義だろう。一方変動的な金融市場では、学んだセオリーが適応しない場面にも遭遇するため、とりあえず実践知を積んでみることも重要だ。

日本経済新聞によれば、最近ではウェブサイトやスマートフォンのアプリから運用を始められる「ロボアドバイザー」が注目を集めているようだ。安定思考型の国民性に、ビックデータを駆使して最適な資産運用を導ける特徴がマッチしているのだろう。

今でこそ高等教育に金融教育が追加されたものの、それを享受していない世代にとって、どうも手にとって分かりづらい「投資」には大きな壁が立ちはだかる。自身の投資目的を明確にした上で、机上論と実践知のバランスを上手く測りながら、少量でもお金を流してみる勇気を振り絞ってみたい。

How college students can start investing — and making — money (CNBC)