Scanner

ENGLISH

scanning メンバーのおすすめ書籍

THE CULTURE MAP/Erin Meyer

英語はそこそこ喋れるのに、現地の人と打ち解けられない。英語力以前の問題、そもそものコミュ力が低すぎるのではないか?

そんな悩みを抱えていた留学初期に読み始めた(積読した)のが、この本。タイトルどおり、異なる文化を読み解く見取り図だ。

著者が提唱するのは、8つの指標で各国の文化的差異をマッピングするフレームワーク。メッセージの伝え方は直接的か間接的か、合意形成はトップダウンかボトムアップか、などなど、さまざまな視点から、コミュニケーションをめぐる文化の違いが浮き彫りになる。

同じ内容、同じ伝え方でも、相手のバックグラウンド次第で、その評価はガラッと変わりうる。それが異文化コミュニケーションの怖さであり、面白さでもある。

もちろん、人と人とのコミュニケーション、フレームワーク通りに進まないのが、世の常ではが、全体傾向を知ることが、異文化理解の第一歩になるだろう。

 

ー「伝え方」をかんがえる3冊

言葉にできるは武器になる/梅田悟司
Google流資料作成術/コール・ヌッスバウマー・ナフリック
戦争広告代理店/高木徹

名画と読むイエス・キリストの物語/中野京子

 

宗教画はどれも同じで難解な上つまらない。そう思い込んでいた一年半前の自分が、宗教画に興味を持つようになった一冊である。

今年の6月までの留学中に旅行しながら各地の美術館をめぐることを目論んでいた私は、欧州に渡るまでにキリスト教に対する理解をある程度深めておきたかった。そこで何冊か宗教と絵画に関する本を購入した中でも、世界の宗教画に沿って新約聖書の内容を一番わかりやすく新約聖書の内容をまとめられていた一冊である。

物語のように話が進む中で絵画が挿絵としてとても良い役割を果たしていた。聖書というと堅苦しいものだと思い込んでいたがどうやら違うようで、「ゲッセマネの祈り」では、イエスがユダの裏切りを知ったのちに苦悩と戦いながら祈りを捧げるのだが、3人の使徒は眠り込んでしまう。使徒の人間らしさがよく表れており、親しみを感じた部分である。

この本を読んだ後では、今まで理解不能だった言語がなんとなくわかるようになった感覚で宗教画を楽しむことができた。同じ構図、場面を描いている作品が多いからこそ作者の特徴が分かりやすかったりするもので、今ではフラ・アンジェリコの鮮やかな色を使う作風がお気に入りだ。

ー 西洋絵画が面白くなる3冊

絵画で読む旧約聖書/中丸明
名画はおしゃべり/木村泰司
いちばん親切な 西洋美術史/池上英洋

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか/山口周

 

勝手な偏見かもしれないが、周りにいるエリートはみんな審美眼が鋭い。

人の目を引く洗練られたファッションを身に纏い、、文化的な活動(読書、アート鑑賞、茶道など)に積極的だ。いろいろな角度からその人をみてみると、筋の通った(センスのよい選択ができる)こだわりが透けて見える。

名だたるグローバル企業は、経営にも通ずる美意識を鍛えるため、幹部をアートスクールに送り込んでいるという。著者は世界のマーケットが「自己実現的消費」へ向かいつつある中、分析的・論理的な情報処理スキルよりも、人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になると述べる。

確かに最近のショッピングを振り返ると、価格の低さや機能性よりも、ブランドやデザインに共感し、「使っていて意味のある・持つことでなりたい自分になれるもの」には納得できる対価として気前よくお金を出している。

VUCAの時代。論理的にひとつの正解が必ずしも導けない世界だからこそ、日頃から私はどんなものに胸がときめくのだろうとアンテナを高く張り、センスに磨きをかけていきたい。

ー「美意識」をアップデートする3冊

オードリー・ヘップバーンの言葉/山口路子
フランス人は10着しか服を持たない/ジェニファー・L・スコット
最強の気くばり/酒井レオ

私の好きな孤独/長田弘

 

私からは「生きやすさ」のヒントになる書籍をご紹介。そのなかでも長田弘さんのエッセイ『私の好きな孤独』は身の周りにある世界に対する視座と向き合い方を学ぶことのできる一冊です。

職場・学校・家庭といったリアルなつながりからソーシャルメディアを始めとするオンラインまで、現代を生きる私たちは数多くの関係性の中に生きています。それにも関わらずニュースを見ると「孤独」の2文字をたびたび目にするのはなぜでしょう。そもそも孤独とはただネガティブなものなのでしょうか。

書籍に編まれた各エピソードの中で、著者はさまざまな「孤独」から周囲の世界と向き合います。アメリカやヨーロッパ各地へのひとり旅、文学や音楽との交わり、あるい自然と対峙。自身との対話を通じて世界を見つめる静かで温かく眼差しから、独りであるとは決してさもしいものではなく、人生をより深く味わうための余白のようなひと時なのだと気づかされます。

内省を通じて異なる文化のルーツを思索する、他者をありのまま理解する、そして社会との関わり方を見つめ直す。「孤独」がもたらすポジティブな一面にも目を向けたいものです。

ぜひ書籍を携えて「圏外」へ。

ー「生きやすさ」を考える3冊

ストリートの精霊たち/川瀬慈
利他とはなにか?/伊藤亜紗他
「わかりあえない」を越える/M. B.ローゼンバーグ

白物家電の神話 モダンライフの表象文化論/原克

 

阿佐ヶ谷の古本屋で見つけた1冊。なんとも不思議なタイトルに惹かれた。

この本では、日常生活に革命をもたらした電気と、それによって生まれた家電の歴史が細かく記されている。中でも「冷蔵庫」の歴史を中心に、わたしたちの生活や価値観との関連性を探る。

筆者の主張としては「白物家電=モダンライフの象徴」というのを否定的な視点から考察している。新しいものが優れ、古いものは劣っている、とされてきた風潮や、部分的な主婦像が世間一般のものとして固められてきた背景などなど。

とはいえ、個人的には冷蔵庫の変化と、時代背景やメディア表現、世間一般での主婦像との関係を解き明かしていくのは非常に興味深かった。

日常生活をおくる上で、モノの変化がわたしたちの生活や価値観を変化させていることに気づくのはなかなか難しい。現にスマホが当たり前の存在となった今日では、ガラケー時代の生活や価値観は忘れ去られてしまっているのではないか。決してモノの良し悪しという話ではなく、知ることから始める大切さに改めて気づけた1冊だった。

ー 合わせて読みたい3冊

「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識/久保 友香
変わり続ける! シブヤ系まちづくり/渋谷未来デザイン
推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来/中山 淳雄